弟子は包丁の切れ味が悪いので安く売ると言う。切れ味が悪ければ焼き入れ温度を上げて水温を低くして切れ味を良くする努力をしなければ信用を失う事になる。ましてや武器である日本刀を造る刀工としてはその精神に問題がある。
4月8日から入門する弟子のご両親が鍛冶場から3キロほど離れた所に宿舎を決めたと報告に来たる。一生懸命頑張り故郷に花を飾る事を期待している。
中国山地はまだ残雪があり金屋子神社駐車場の桜もまだつぼみはかたい。体調も回復しているので頑張って注文刀を追わなくてはならない。
定休日なれど刀工弟子が鍛錬をするので見学指導を兼ねて鍛冶場へ。今日も沢山のふくれを切り取っているが玉鋼の処理が不十分なのでふくれは止まず。刀工である以上弟子には恥ずかしくない沸かしの技術を見せなければ、こんな刀工に弟子入りをして本当に刀鍛冶になれるのだろうかと弟子は不安になる。 夜7時、金屋子神社名誉宮司の阿部先生が御亡くなりとの報有り。
朝から脇差の皮鉄と心鉄の組み合わせを弟子4人に見せた後弟子が続きの沸かしをするが日刀保玉鋼の5回鍛えで炭素量も高く苦労をする。改めて日本砂鉄の自家製鉄の鍛伸性の良さを知るが刀工試験は日刀保玉鋼なので慣れるしか方法はない。
昨日の手打ちで素延べをした刀の火造りを弟子1人の前で説明をしながら進め夕方には反り付をして焼き入れ前の姿に仕上げる。もう1人の3か月間様子見の弟子は昨日何の連絡も無しに休む。弟子として常識に欠けている。
弟子刀工が努力不足の弟子の進路変更を求めるもチャンスをもう1度欲しいとの事で私の弟子として3か月間の様子見となる。命がけで一生懸命頑張れば私の弟子として認める。今日は私の78歳の誕生日。昨秋は心筋梗塞で心臓が打ったり、打たなかったりで病院より医師が救急車に乗りて病院に運ばれ手術。まだ1か所血管が細まった所有り治療中なれど1日に4時間ほどの刀造りが出来る迄回復となる。体を大事にして弟子全員が刀工になる迄頑張りたい。
昨日の疲れがまだ残るが週1回の山歩きで足腰を鍛えなければ肉体は弱る。今日は1時間を歩くが息の乱れも無く心臓は順調に回復している様である。
夜明けに出発して墓守のいなくなった妻の実家の墓掃除を完了さす。妻の両親との出会いがつい最近の様に思い出す。あれから57年が過ぎたが夫婦仲良く過ごせるのも両親が大事に育ててくれた御蔭と首を垂れる。刀工の道を歩むのを助けてくれたのも妻であったと感謝。
午前中にスプリングハンマーを使っての仕上げ打ちを終える。早めの昼食をすまして先日妻の実家の墓地に生い茂る木の枝を切ってあったので米袋9俵分を集めて鍛冶場に持ち帰るも、あと5俵分位の木の葉や枝が残るので定休日にでも出かけて持ち帰る事にする。

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