朝町内を30分歩き鍛冶場で山本刀工の鍛錬を見る。1回々の鍛錬で完全に鍛接された事を確認しなければ必ずキズが出る。もう少し注意が必要。
11月1日の心臓の検査迄あと3日となる。自宅でリハビリを行いながら鍛冶場に出て弟子の折り返し鍛錬の口頭指導を行いながら週末の玉鋼造りも考えておかなければ沢山の注文の鋼も不足する。昨日の弟子指導では私が刀造りをする以上に疲れて休日の今日はゆっくりと町内の散歩道を歩いて心臓回復訓練。
山本刀工が不在であるが弟子2名が出席したのでたたら製鉄で造った玉鋼の性質を見るのにテストピースとして2人に2キロの玉鋼を渡して鍛錬をさす。見学者はフランス人2名、日本人3名。今迄出来なかった事をなんとかこなして上達の程を見せる。1日鍛錬をしたので火床の上に置いた50キロの砂鉄も夕方には乾く。
たたら製鉄の責任者は「村下」と言われる。先週初めて村下をつとめた大阪のU君が今日も村下で2種類の砂鉄混合で7.2キロの玉鋼を造る。全国の刀工は日刀保たたらの玉鋼を使うのでどの刀工も地金は同じで個性がなく刃文の違いだけで面白くない。折れず、曲がらず、良く斬れる刀は自家製鋼しかなく地金の働きも良いので卒業生は皆玉鋼を造るが、中には間違った精神の者もいるので一門から外してある。
午前中は山本君の折り返し鍛錬。午後は弟子のたたら炉の塗り直しを指導。砂鉄は小沸を着けるのに種子島の砂鉄を乾燥させて混合用とする。口頭指導も多忙である。
昨夜から柳田国男著「神道と民俗学」を定休日の朝から夜迄かけて読み終わる。神道国学の道を歩む刀工には必読の書である。幸い現在の弟子も必ず鉄の神様に二礼二拍手一礼を以って刀造りに励む。神国日本の始まりである。
今日は週末のたたら製鉄に備えて徒歩に加え少しリハビリを高めて山本君と2人で煙突や火床から火の粉のもれる部分をトタンでふさぐ。炉材も少なくなっているのでメーカーに出掛けて注文をする。
早く目覚めたので自宅でリハビリを行い鍛冶場へ。退院時に比べれば随分と体力も回復している。あと少し歩いて心臓の機能を高めなければならない。山本刀工の鋼の沸かしを見ているが炭の盛りが少ないので温度が低い。炭を盛りもう少し落ち着けば良い沸かしになる。火床の上に置いた北陸の砂鉄も乾く。
全国的に今期1番の寒さ。たたら製鉄指導で疲れ切り今日の休日は1日を寝て過ごす。鍛冶場では山本刀工の指導とその弟子2名、私の弟子2名の合計5名の指導を続けているが今だ体調は回復しておらず、せめて刀工資格を持って刀が造れる弟子が1名入れば助かるのだがと思いつつリハビリを続けている。
寒くなったので口頭指導にて大阪出身のU君にたたら製鉄を初めて体験さす。20キロの砂鉄で7キロの玉鋼が取れて成功。1振りの刀製作に10キロの玉鋼を要するので来週末に他の弟子を指導してもう1回砂鉄の種類を変えてたたら製鉄を行なう。今日は刀の地金鍛錬とたたら製鉄との2か所指導で大変疲れる。