作業の予習、復習をすれば鋼の処理が出来るが弟子はしないので失敗を繰り返す。本人は耳が遠くてベルトハンマーや送風機の音がするので注意は大きな声を出すのでこの大声が心臓に悪い。私は今泉先生から「上田君努力と工夫は自分でするもの」と言われたが、先生は佐賀藩士の家系であり日本刀造りの基本は葉隠武士道に有ったと思っている。だから戦時中は徹底して刀造りを研究して陸軍授名刀工として御国の為に頑張った。先生の刀は使う物と見る物であるとの教えを実践する一門で芸術家ではなく職人である。この思想がなく金銭を求める刀工が数多くいるので使えない見るだけの現代刀となる。難しいが砂鉄から自家製鉄で玉鋼を造る事をしなければ日刀保玉鋼だけでは実用刀は出来ないと思いながら疲れた心臓を休める休日である。